感動と感謝のトレッキング。
エルチャルテンという町に4泊しました。
ここでの目的はトレッキングです。
ここは国立公園の中にいくつかのトレッキングルートがあり、私は1番メジャーな2つのルートに行ってきました。
セロ・トーレ山を望むルート(往復6時間半かけました)
フィッツ・ロイ山を望むルート(往復11時間かけました)
の2つにチャレンジ。
先に結論ですが、これが、もう、本当に素晴らしかった!!!
パタゴニア来て本当に良かった!!!
セロトーレは前回書いたSuzyと一緒に行って、フィッツロイは1人で行ってきました。
特にフィッツロイ山はアウトドアブランドのパタゴニアのロゴのモデルになっている山で、
山のオーラがすごい。(山にオーラがあるか知らないけど。笑)
フィッツロイは朝日に照らされて少しの間、山が真っ赤に染まるというのが有名で、
それを是非見たいと思っていました。
ただ、パタゴニアでのトレッキングは天気との勝負なのです。
宿に泊まってる人もみんなこまめに詳細な天気予報をチェックして、
宿の人も事あるごとに、お天気情報をアップデートしてくれます。
雨だとそりゃトレッキングはキツいですし、
曇りでも今の季節は寒かったり、山が雲に隠れて良い景色が見られなかったり。
今ここの季節は日本と逆なので、
夏から秋になり、シーズンも終わりに近づいています。
後は風!ここの地方ものすごい強風が吹くのです。
立っているのが怖くなるほどの強風です。
セロトーレのトレッキングの終着点が特にすごくて、
私の身体のサイズの凧があれば確実に空を飛べました。
つまり、トレッキングのコンディションの見極めが非常に難しい!
ーいつ、どのルートに行くべき?
ー朝は何時に出て何時までには帰ってくるべき?
ー服装や装備はどうする?
などの判断、決断が必要です。
それでもって結局はお天気なので、蓋を開けてみないと分からない。
もう、えいやっ!で決めるしかないということです。
フィッツロイ山へ行く前日の夜、宿のおっちゃんとのやりとり。
私「どーしても明日の朝フィッツロイの朝焼けみたいんだけど、お天気どうですかね…???」
宿のおっちゃん「んー、残念だけど明日はダメだ。曇り。朝焼けは無理だね。」
私「えーーーーー!でも私明日しかもう時間ない…、あ、でもあさってもいけるかも」
おっちゃん「あさってはもっと天気悪いよ。」
私「えーーーー…。。じゃあどうしよ。。。」
しばし沈黙。
おっちゃん「これが見たかったの?(とものすごくキレイな朝焼けの写メを見せてくる)」
私「そう…これー…うー…どうしようー…」
おっちゃん「どうしようって言われてもねぇ。。嘘言って欲しかったら嘘言うよ?笑」
私「いや…それはいらないけど、明日じゃあ何時に出ようかな、
朝焼け諦めて日が昇ってから出るほうがいいのかなー…」
おっちゃん「うん、8時か9時にでたらいいよ。昼はマシになるしどうせ早く行っても朝焼けは見れないから。」
私「うーーーん。。。。でもなぁーーー。。。」
おっちゃん「…。分かった!もうじゃあ5時半に出よう!そしたら山が見えるポイントに7時には着くからそこで朝日を待ったらいい。天気のことは誰も分からないからチャンスに賭けるか!」
私「うん!そうします!!!」
という、
きっと「なんて面倒なんだ、じゃあ天気聞かずに行けよ!」って
おっちゃんにはきっと思われていたであろうやりとりをし、笑
朝5時半まだ真っ暗な中、
歩いたことない山道をレンタルしたヘッドライトで足元だけ照らしながら1人で黙々と歩くという、
もう不安でいっぱいのスタートでした。
しかも人がほとんどいない!
やはり今日は天気がダメだから誰も朝日は見に来ないんだ…
と、悲しくなりながらもなんとか道は間違わなかったようで、
目的のビューポイントに到着。
風が強い!寒い!震える手でバナナを食べながら待つこと30分。
神さまは味方でした…(涙)
前日の夜からの不安と真っ暗な山の中での心細さの反動もあり、これはさすがに涙が出てきました。
ありがとう!ありがとう!ありがとう!!!
という気持ちでいっぱいになりました。
この山は周りの風景や山から浮かび上がってすくっと立って居るように見えて、
本当にオーラというかエネルギーがすごい。
なんてカッコいい山…!
もちろん理想の状況とは遠くパーフェクトな色づきではないと思うし、
赤っぽいかな、ってのも一瞬だったのですが、私にとってはこれが完璧の景色でした。
後で判明しましたが、朝焼けを見る人の多くはトレッキングコースの最終地点で見るらしく、
それはつまり、コース途中にあるキャンプ地点でテントを張って泊まってる人たちが見に行くそう。
あるいは、テント泊してない人は朝2時とか3時とかに出て暗闇の中を4時間以上歩き続けるということです。。。
最終地点のポイントには朝焼け見る人がたくさん人がいたみたい。
そして、その3分の2は日本人だったという…!
日本人ってなんとストイック…。
朝日にかける情熱が強いのかしら。
そういうことで、コース途中のビューポイントで朝日を待った私の周りには
全然人がいなかったわけです。
そして、これがまた良かった。
日が完全に出てから1人で歩き出しましたが、周りの紅葉している木々に少しずつ光が当たって、
世界に色がついていくのを独り占めしたみたいでした。
トレッキングコースの中腹はフラットな道で、ずっと山を横目に見て歩くことができます。
水がとてもキレイです。
トレッキングコースを流れる川の水は全て飲むことができるので、
飲み物の入れ物だけ持って途中で水を補給して飲んでいました。冷たくて美味しかった!
ちょっと木立に入ったり、道が曲がっていたりした後で、またパッと山が目に入るたびに
「うわー…すごいなー…」と感動して、写真を撮るのだけど、
後から見たら同じような写真ばかり。笑
一日中同じ山を見ているのだけど、不思議なほど見るたびに心奪われる山でした。
コースの最後はかなりな急斜面。ホントつらかった…。
これを1時間くらい登り続けます。
やっとコースのゴール地点!ここはまだ雪が残っています。
ここは風が強くて寒かったけど、やはり美しい!
寒いけど、ここまで登ってきたせいで汗だく。
そして帰り道もまた息を飲む美しさ。
また晴れたー!
こんな景色の中何時間も歩けるなんて、なんと素晴らしいコース!!!
エルチャルテンの地元の人が、
「私は今のこの3月終わりから4月始めが1番好き。」と言ってました。
シーズン中(特に12月〜2月)はものすごい人だそうですが、
今はシーズンの終わりでそこまでたくさん人はいないし、
あと紅葉と山のコントラストがとてもキレイだから。と、言ってました。
計らずも、とてもよい時に来られたようです。
日本では山登りとかあまりしたことないですが、気づけばこの旅では結構山に登ってます。
日本では運動不足、かつトレッキング素人の私はもう全身筋肉痛でかなりツラいですが、
トレッキングっていいな、と、とても単純に思いました。
(まぁ、歩いたコースが良かったのも多分にあるでしょうが。)
山の景色って時間や角度によって、くるくる変わるし、見ていて本当に飽きない。
あと、1人で黙々と歩くというのも、瞑想みたいな効果があると思うのだけど、
とても心がリラックスするし、普段思いつかないようなことを思いついたりします。
そして、何故だか分かりませんがその圧倒的な自然の前に感謝の念が溢れてきます。
ここまで私を導いてくれてありがとう、
素晴らしい景色を見せてくれてありがとう。
この旅の中でも1番と言っていいほど、深く深く心に刻まれた景色と時間でした。